今回はBMWオーナーさんなら一度は耳にしたことがあるであろう「オイルフィルターハウジング」について、
役割から故障事例、交換の目安や費用感まで詳しく解説していきます。
BMWに長く乗っていると、オイルフィルターハウジング周りのトラブルはほぼ避けて通れない“持病”といっても過言ではありません。
これからBMWの購入を検討している方、すでにオーナーでメンテナンスを考えている方はぜひ参考にしてみてください。
オイルフィルターハウジングとは?その役割を解説
エンジンオイルは、潤滑・冷却・洗浄といった役割を担い、エンジンの寿命を左右する非常に重要な存在です。
そのオイルを常にクリーンな状態に保つために取り付けられているのが「オイルフィルター」であり、
それを固定・保持しているのがオイルフィルターハウジングです。
主な役割は以下の通りです。
- オイルフィルターの固定
オイルが必ずフィルターを通過するように導く。 - オイル経路の分配
エンジンから戻ったオイルをフィルターに導き、濾過後に再びエンジン内部へ送り出す。 - オイルクーラーとの接続
一部のBMWではオイルクーラーが接続されており、冷却経路の分岐も兼ねている。 - センサーやスイッチの搭載部
オイルプレッシャースイッチや温度センサーが取り付けられる重要部品でもある。
つまり、オイルフィルターハウジングは「オイルの流れを制御する心臓部の一つ」と言えます。
BMWでよくある故障事例

では、実際にBMWオーナーを悩ませるトラブル事例を見ていきましょう。
1. ガスケット劣化によるオイル漏れ
BMWに最も多いのがこちらです。
オイルフィルターハウジングはアルミ製で頑丈ですが、エンジンブロックとの接合部に使われているゴム製ガスケットが熱で硬化・収縮し、隙間からオイルが漏れてきます。
- 症状:エンジン前方にオイルにじみ、駐車場にオイル染みが残る
- 放置するリスク:オイルが補機ベルトに付着 → ベルトの劣化・滑り → 最悪の場合ベルトが切れて吸い込みエンジン内部へ → エンジンブローの危険
「ただのオイルにじみ」と軽く見ると、後で大きな修理につながる典型例です。
2. オイルクーラー接続部からの漏れ
オイルクーラー付きモデルでは、ハウジングとクーラーをつなぐ部分のシールも劣化します。
特にオイルとクーラントを熱交換するタイプでは、オイルと冷却水が混ざるトラブルも発生するため注意が必要です。
3. ハウジング自体のクラック
比較的まれですが、経年劣化やDIYでの過大トルク締め付けでアルミハウジング自体にヒビが入ることもあります。
新品部品への交換が必要です。
4. センサー部からの漏れ
オイルプレッシャースイッチや温度センサー取り付け部のシール不良などが挙げられます。
こちらもガスケットやOリング劣化が主な原因です。
エンジン型式ごとの特徴と作業性
BMWはエンジンごとにオイルフィルターハウジングの配置や構造が違い、交換難易度も変わってきます。
- N52/N54/N55系(直6自然吸気・ターボ)
インテークマニホールドに隠れており、取り外しに時間がかかる。工賃も高め。 - B48/B58系(最新世代の直4・直6ターボ)
比較的アクセスしやすく、作業性は良好。 - ディーゼル系(N47/B47など)
エンジンルームが狭いため、部位によっては取り回しが大変。
同じ「ガスケット交換」でもエンジン型式によって工賃が1.5倍以上変わることも珍しくありません。
交換時期と費用の目安
- 交換目安:6万〜10万km前後、または10年経過あたり
- 費用感:
- 部品代(純正ガスケット):数千円
- 工賃:2〜5万円(エンジン型式により大きく差あり)
- 合計:3〜6万円前後が一般的
「ガスケットだけで数千円なのに、工賃が高い…」というのがBMWあるあるですが、それだけ手間のかかる作業ということです。
DIY整備での注意点
BMWオーナーの中にはDIYで交換を試みる方もいますが、いくつか注意が必要です。
- トルク管理は必須:アルミハウジングはオーバートルクで割れるリスクあり
- 取り外し前の清掃:ゴミやオイル残りが混入するとエンジンに悪影響
- オイルとクーラント両方の処理:オイルクーラー付きの場合、クーラントも抜く必要あり
自信がない場合はプロに任せる方が安心です。
トラブルを未然に防ぐために
ここからは、日々BMWの整備に携わっている店舗の立場から、
オイルフィルターハウジングのトラブルを避けるためのポイントをいくつかお伝えします。
オイルにじみを「におい」で気づくオーナーも多い
「駐車場にオイルが落ちていた」というケース以外に、意外と多いのがオイル臭です。
走行後、ボンネットから焦げたようなにおいがする場合、漏れたオイルがエキゾーストマニホールドなど高温部分にかかっている可能性があります。
これは典型的なハウジングガスケット劣化のサインです。
ベルトへのオイル付着は特に危険
オイルが補機ベルトにかかると、ゴムが膨潤して滑りが発生します。
そのまま走行を続けると、最悪の場合ベルトが切れてエンジン内部に吸い込まれ、ウォーターポンプやオルタネーターまで破損するケースもあります。
実際に整備工場では「数千円のガスケット交換を後回しにした結果、修理費が数十万円になった」という事例が何件もあります。
予防整備としての同時交換がおすすめ
オイルフィルターハウジング周辺を分解する際は、オイルクーラー側のガスケットやセンサーのOリングも同時交換しておくのが得策です。
部品代は数百円〜数千円ですが、作業を分けてしまうと工賃が二重に発生します。
効率良く整備することで、長期的にみるとコストの削減につながります。
DIYは慎重に……プロに任せる方が安心な理由

インターネット上にはDIY整備の手順も多く紹介されていますが、オイルフィルターハウジング周りは意外と難易度が高い箇所です。
- ボルトの締め付けトルクを間違えるとアルミハウジングが割れる
- 清掃不足でゴミが混入し、オイルラインを詰まらせる
- オイルとクーラント両方を扱うケースがあり、処理を誤るとエア噛みや水漏れの原因になる
整備士からすると、作業の95%は正しく進んでも、最後の5%の処理ミスで大きなトラブルに発展するリスクがあります。
少しでも不安がある方は、無理にチャレンジせず専門工場へ依頼した方が安心です。
定期点検時に「ついでに見てもらう」が確実
オイルフィルターハウジングのトラブルは、車検や定期点検の際に目視点検で発見できることがほとんどです。
整備工場としては「にじみが始まったら早めに対応」を推奨します。
完全に漏れ出してからだと清掃も含めて手間が増え、工賃も高くついてしまいます。
整備士目線でのまとめ
オイルフィルターハウジングはBMWに乗る以上、避けては通れない整備ポイントです。
- 「オイルにじみかな?」と感じたら放置せず点検する
- ガスケット交換は消耗品整備の一環と割り切る
- 同時交換で無駄な工賃を防ぐ
- プロに依頼する方が結果的に安上がりになるケースが多い
愛車を長く大切に乗るためには、こうした定番の故障ポイントを理解し、早めに対応していくことが最良の予防策となります。
もしご自身のBMWでオイルのにじみや焦げたようなにおいが気になる場合は、一度点検をご依頼ください。
小さな整備で済むうちに対応すれば、安心してBMWらしい走りを楽しむことができます!
まとめ BMWのオイルフィルターハウジングは“予防整備”が大事
BMWにとってオイルフィルターハウジングは、エンジンオイルを守る重要な部品ですが、
同時にオイル漏れトラブルの定番箇所でもあります。
- ガスケット劣化によるオイル漏れはほぼ必ず発生する
- 放置すると補機ベルトやターボにオイルがかかり、二次被害のリスク
- 6万〜10万kmを目安に予防整備として交換がおすすめ
もし愛車のエンジン前方にオイルにじみを見つけたら、早めの点検・整備を検討してください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
当社でもBMWのオイルフィルターハウジングの交換を含めた各種メンテナンスを承っております。
気になる症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください!
