BMWのエンジンがかからない!「電気はつくのにセルが回らない」症状の正体
「朝、車に乗ろうとしたら、エンジンがかからない…」
「キーを回しても、スタートボタンを押しても、カチカチと音がするだけでセルが回らない…」
「でも、メーターは点灯するし、ヘッドライトもつく。一体何が原因なんだろう?」
このような状況に直面されたことはありませんか?これはBMWに限らず、どんな車でも起こりうるトラブルですが、特にBMWでは電装系の複雑さから、その原因特定に戸惑う方も少なくありません。今回は、この「電気はつくのにセルが回らない」という症状に焦点を当て、その原因と対処法、そして中古車購入時に知っておきたい予防策について、BMW中古車専門店のプロの視点から詳しく解説していきます。
BMWオーナーが直面する「エンジンがかからない」トラブルとは?
エンジンがかからない、と一口に言っても、その症状は様々です。
- 全く電気がつかない(無反応):バッテリーが完全に上がっている、またはメインヒューズが飛んでいる可能性が高いです。
- セルは回るがエンジンがかからない:燃料供給系、点火系、吸気系、またはエンジン本体の不具合が考えられます。
- 電気はつくのにセルが回らない:今回取り上げる症状です。メーターやライトは点灯するものの、エンジンを始動させるためのスターターモーター(セルモーター)が作動しない状態を指します。
この「電気はつくのにセルが回らない」という症状は、バッテリーが完全に空ではないことを示唆しており、一見するとバッテリー以外の原因を疑いがちです。しかし、実はバッテリーの劣化が深く関わっているケースも少なくありません。
「電気はつくのにセルが回らない」症状が意味するもの
この症状は、車両の電装品を動かすだけの電力は残っているものの、エンジンを始動させるために必要な、より大きな電流を流すだけの能力がバッテリーにない、あるいはスターターモーター自体に問題があることを示しています。
BMWは多くの電装品を搭載しており、快適性や安全性を高める一方で、バッテリーへの負担も大きくなりがちです。
エンジンがかからない主な原因とBMW特有のポイント
では、具体的にどのような原因が考えられるのでしょうか。BMWの構造や特性を踏まえながら、主な原因を深掘りしていきましょう。
1. バッテリーの劣化・電圧不足
「電気はつくのに?」と思われるかもしれませんが、これが最も多い原因の一つです。
BMWのバッテリーは、一般的な電装品を動かすための電力(数アンペア)と、スターターモーターを回すための大電流(数百アンペア)を供給する能力が求められます。バッテリーが劣化すると、電圧は保たれていても、瞬間的に大電流を供給する能力(CCA値:コールドクランキングアンペア)が低下します。
- BMWのバッテリーマネジメントシステム(IBS):BMWはインテリジェントバッテリーセンサー(IBS)を搭載し、バッテリーの状態を常に監視しています。しかし、このシステムもバッテリーの急激な劣化には対応しきれない場合があります。
- アイドリングストップ機能:F系以降のモデルに多く搭載されるアイドリングストップ機能は、バッテリーに大きな負荷をかけます。専用のAGMバッテリーが使用されていますが、それでも寿命は3~5年が目安です。
- 特に注意したいモデル:N20、N55、B48、B58などのエンジンを搭載するF系モデルや、E系後期モデル(E90、E60など)では、バッテリー交換履歴が不明な中古車の場合、購入後にバッテリー交換が必要になるケースがよく見られます。
2. スターターモーター(セルモーター)の故障
バッテリーに問題がない場合、次に疑われるのがスターターモーター本体の故障です。スターターモーターは、エンジンを始動させるためにクランクシャフトを回転させる重要な部品です。
- 経年劣化による摩耗:内部のブラシやギアが摩耗したり、ソレノイドスイッチが固着したりすることで、作動不良を起こします。
- 症状:キーを回しても「カチッ」という音だけがして、モーターが回らない。あるいは全く無音という場合もあります。
- 特定のモデルでの傾向:E系モデル(E90、E60など)やF系初期モデル(F10、F30など)で、走行距離が8万kmを超えたあたりから故障事例が増える傾向にあります。スターターモーターはエンジンの奥まった場所に位置していることが多く、交換には工賃がかさむ傾向にあります。
3. シフトポジションセンサーの不具合
オートマチックトランスミッション(AT)車の場合、シフトレバーがパーキング(P)またはニュートラル(N)に入っていないとエンジンがかからない安全機構が備わっています。このシフトポジションセンサーに不具合があると、PやNに入っていても車両が認識せず、エンジンがかからないことがあります。
- 症状:シフトレバーをPやNに入れても、メーター内のシフト表示が点滅したり、表示されなかったりする場合があります。
- 対処法:一度シフトレバーをPからN、NからPへと何度か動かしてみて、しっかりカチッと入ることを確認してみてください。
4. イモビライザーシステムの不具合
BMWは高度な盗難防止システムであるイモビライザーを搭載しています。正規のキー以外ではエンジンがかからない仕組みですが、このシステムに不具合が生じると、正規のキーでもエンジンがかからなくなることがあります。
- キーの電池切れ:キーレスエントリー(コンフォートアクセス)の場合、キー内部の電池が切れていると、車両がキーを認識できず、エンジンがかからないことがあります。この場合、キーをステアリングコラムの指定された位置に近づけてスタートボタンを押すことで始動できる場合があります。
- キー本体の故障:キー内部のトランスポンダーが故障している可能性もあります。
- 車両側の受信機トラブル:稀に車両側のイモビライザーシステム(EWSやCASモジュール)に不具合が生じることもあります。
5. その他、稀なケース
上記以外にも、以下のような原因が考えられますが、これらは専門店での診断が必要となるケースが多いです。
- メインリレーの故障:スターターモーターに電力を供給するリレーの不具合。
- 配線の断線・接触不良:バッテリーからスターターモーター、あるいは各センサーへの配線トラブル。
- ECU(エンジンコントロールユニット)の不具合:非常に稀ですが、ECU本体の故障によりエンジン始動信号が出力されないこともあります。
突然のトラブル発生!その時どうする?緊急時の対処法
もし突然、愛車のBMWがエンジンがかからなくなってしまったら、まずは落ち着いて以下の手順で対処しましょう。
まずは落ち着いて状況を確認
- メーター表示の確認:警告灯は点灯しているか、シフト表示は正常か。
- ライトの点灯状況:ヘッドライトや室内灯は明るく点灯するか、暗いか。
- 異音の有無:キーを回した時やスタートボタンを押した時に、「カチカチ」という音や「ウィーン」というモーター音はするか。
- シフトレバーの位置確認:AT車の場合、PまたはNにしっかり入っているか。
自分でできる簡単なチェックと試せること
- キーの電池交換:キーレスエントリーの場合、まずはキーの電池を交換してみましょう。
- ブースターケーブルでのジャンプスタート:他の車からバッテリーを繋いでジャンプスタートを試すのは、バッテリーが原因かどうかを一時的に確認する有効な手段です。
- バッテリー端子の緩み確認:バッテリーのプラス・マイナス端子がしっかり締まっているか確認します。稀に緩んでいることがあります。
JAFやロードサービスへの連絡
自分で対処が難しい場合、迷わずプロに連絡しましょう。
- JAFのサービス内容と費用:JAF会員であれば、バッテリー上がりや故障車の搬送など、様々なロードサービスを無料で利用できます。非会員でも有料で利用可能です。
- 任意保険付帯のロードサービス:多くの任意保険にはロードサービスが付帯しています。JAFよりも優先して利用できる場合もあるので、保険証券を確認してみましょう。
- 連絡時に伝えるべき情報:車種(モデルコードも)、年式、現在の症状(「電気はつくがセルが回らない」など)を具体的に伝えることで、スムーズな対応が期待できます。
代車費用特約の活用
修理に時間がかかる場合、移動手段の確保は重要です。通勤やご家族の送迎など、日常生活でお車が欠かせないお客様には、ご加入をおすすめいたします。正規ディーラーや弊社でも代車をご用意しておりますが、数に限りがあり、お貸し出しの期間や時間に制限がある場合もございます。
- 任意保険の「代車費用特約」とは?:この特約に加入していれば、事故や故障で車が使用できない期間、レンタカー費用を保険会社が負担してくれます。
- 利用条件、補償期間、日額:特約の内容は保険会社や契約プランによって異なります。事前にご自身の保険内容を確認しておくことをお勧めします。
- 修理期間中の移動手段確保の重要性:特に通勤などで車が必須なビジネスパーソンにとっては、この特約の有無が大きな安心材料となります。
中古BMW購入時に「エンジンがかからない」リスクを減らすポイント
BMWの中古車は、新車では手の届かなかった憧れのモデルを手に入れるチャンスです。しかし、経年によるトラブルのリスクも考慮し、賢く選ぶことが重要です。
1. 整備記録の徹底確認
- バッテリー交換履歴:いつ、どの種類のバッテリーに交換されたか。
- スターターモーター交換履歴:走行距離の多い車両の場合、交換済みであれば安心材料となります。
- 定期点検の実施状況:正規ディーラーやBMW専門店での定期点検がきちんと行われているかを確認しましょう。
2. 走行距離と年式による消耗品の目安
- バッテリーの寿命:前述の通り3~5年が目安です。購入時に交換時期が近い場合は、交換費用を見込んでおきましょう。
- スターターモーターの寿命:個体差はありますが、8万km前後で交換が必要になるケースが見られます。
- 電装系部品の経年劣化:BMWは電装品が多い分、センサー類や配線の劣化も考慮に入れる必要があります。
3. 専門店での購入と納車前点検の重要性
私たちアバンティーのようなBMW中古車専門店では、メーカーや正規ディーラーとは異なる視点で車両を厳しくチェックしています。
- アバンティーが提供する安心感:BMWの特性を熟知したメカニックが、過去のトラブル事例や各モデルのウィークポイントを踏まえて徹底的に点検します。
- 納車前の徹底した点検・整備内容:単なる消耗品交換だけでなく、BMW専用診断機(ISTA/Rheingoldなど)を用いてエラーコードの有無を確認し、潜在的なトラブルの芽を摘みます。
- 診断機によるエラーコードチェック:エンジンがかからない原因が電装系にある場合、診断機でエラーコードを読み取ることで、原因を特定しやすくなります。
まとめ:アバンティーが考えるBMWとの賢い付き合い方
BMWは、その卓越した走行性能と洗練されたデザインで、多くのドライバーを魅了し続けています。中古車であっても、その魅力は色褪せることはありません。しかし、長く快適に乗り続けるためには、適切な知識とメンテナンスが不可欠です。
予防整備と早期発見が鍵
「電気はつくのにセルが回らない」というトラブルは、突然起こるように見えて、実はバッテリーの劣化やスターターモーターの摩耗など、徐々に進行しているケースがほとんどです。定期的な点検を怠らず、少しでも異変を感じたらすぐにプロに相談することが、大きなトラブルを未然に防ぐ鍵となります。
信頼できるプロショップとの関係構築
BMWの整備には専門知識と経験が必要です。私たちアバンティーは、BMWの中古車を専門に取り扱うプロショップとして、お客様のBMWライフをトータルでサポートいたします。新車時のカタログスペックだけでなく、中古車としての「現在の価値」「維持のリアリティ」「市場での選び方」を誠実にお伝えし、お客様が後悔しない一台選びをお手伝いします。
BMWライフを長く楽しむために
適切なメンテナンスと、BMWの特性を理解したプロショップでのメンテナンスで、中古のBMWも新車と変わらない感動と喜びを与えてくれます。BMWに乗りたいという情熱を、故障リスクやコストパフォーマンスの不安で諦めずぜひ一度、アバンティーにご相談ください。


